JCAでのインターン:筑波大生が佐野市へ
- 2021-12-21
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- 海外からのクリケット関係者をお迎えして
日本クリケットの発展に向けて、当協会では継続して、海外からクリケット関係者をお迎えしています。長年に渡り、オーストラリアやイギリス、ニュージーランドを中心に、様々な国からクリケット関係者が来日しています。
このセクションでは、お客様一人ひとりの来日理由や実際に日本で行った活動などに関する記事を掲載しています。
記事をお読み頂き、この活動に興味を持って頂けましたら幸いです。また、この活動に関する質問等がある方は、私達までご連絡ください。
群馬県と栃木県の山間に位置する静かな小さな町が、週末になるとボールを打つ音とともに活気づくのは、驚くべきことではないでしょうか。日本で再び学生としての生活を送ることを決めた私にとって佐野市は、第二の故郷と言える場所になりました。
私は現在、筑波大学の修士課程において、スポーツとオリンピックに関する研究をしています。筑波大学は何人ものオリンピック選手を輩出しており、スポーツ界でその名を馳せています。しかし、ニューデリー出身の私にとって大好きなスポーツの一つであるクリケットに関しては、日本で楽しむことはできないだろうと思っていました。
そこで、私はバドミントンやテニスを楽しんだり、野球(baseballではなくyakyūです!)に転向してみることを考えたりしました。他のスポーツをすることも十分楽しかったのですが、少し物足りなさを感じていた頃、偶然、日本クリケット協会のウェブサイトを見つけました。その後、私は千葉シャークスの一員として迎え入れもらい、大学生として研究に追われる毎日を過ごしながらも、週末には思いっきりクリケットを楽しむことができています。
筑波大学では学生にインターンシップを義務付けており、JCAから大学にインターンの話があった際には、私は当然のことながら興味を持ちました(私の流暢なヒンディー語では日本の組織で働くことは難しいですしね!)。また、JCAが国際色豊かな組織であることも、インターンシップを決めた理由の一つです。
JCAでインターンとして働くことができたことは、私にとって大きな学びとなりました。特に、クリケットシーズンも終わりに近づいた一か月の間には、エンバシーカップやジャパンカップのファイナルも開催され、忙しくも充実した時間となりました。
JCAでのインターンには、私に加え、さらに2人の筑波大生(サッカー狂のナイジェリアからの学生クリスチャン・オコエと私と同じくインドからの学生スーラジ・バンダリ)が参加しており、アラン・カー氏(クリケット事業統括責任者)とドゥーグル・ベディングフィールド氏(コミュニティ・クリケット・マネージャーであり、私のシャークスのキャプテンでもあります!)は、とても大変だったと思います!
クリスチャンのインターンシップは、私とスーラジの前に終わってしまいましたが、後に続いた私たちにインターンとして働く環境を整えてくれたように思います。クリスチャンは、JCAでのインターンについて「私がJCAでのインターンを決めた理由は、日本でのクリケット普及を目的としたプロモーション活動や組織運営について理解したいと考えたからです。」と言っていました。
「地域に根付くスポーツを発展させるには、環境、人材、技術、人口、政府などの重要な要素を考慮し、効率的かつ効果的な成果や結果を出すために、異なるアプローチをとりながら様々な段階を経ることが必要です。私は、スポーツマネジメントモジュールに関する研究を続けており、現在は国家レベルでのスポーツ開発に取り組んでいます。既存または新しいスポーツを発展させてゆく過程において、組織が直面しうる問題や課題を理解し、スポーツを成長、普及させるためのモデルを開発しています 。そういったオペレーションに携わるスポーツ組織での経験やアイデア、考えが私にとっては必要であり、JCAでのインターンシップは私の目標と合致したのです。」とクリスチャンは言っています。
研究熱心な学生であり優秀なセンターミッドフィルダーでもあるクリスチャンは、クリケットという彼にとっては未知のスポーツについて学んだ後には、唐澤ロッジの近くにあるサッカー場で地元のプレイヤーとサッカーを楽しんでいました(ディフェンダー陣を翻弄していたそうです!)。インド人の同級生2人は、まだ彼をクリケット選手に変えることはできていませんが、JCAでクリケットと共に過ごした時間はかけがえのない時間となったと言っていました。
一方、スーラジも、自分の能力を発揮する絶好の機会をITの分野で見出しました(インド出身者にとっては、得意と言われる分野ですね。クリケットと同様に!)。
インターンシップを終えたスーラジは、「このインターンを通してスポーツ組織がどのように運営されているかを理解し、自分のキャリアと将来の成長に役立てることができました。」と、真剣な眼差しで話してくれました(少なくともインターンシップの期間中は見られなかった真顔です!)。「運営陣とのミーティングに1日参加することもでき、多くを学びました。また、今回のインターンでは、自分の持っているスキルを活かし、できるだけ多くの仕事を引き受け、やり遂げることを目標にしていたので、データベースや在庫管理などのタスクを実際に体験することも、大変意義のあることでした」。
スーラジは、これまで日本で行われたクリケットの記録を公式にデータベース化しました。「クリケット日本代表チームの歴史的なスコアを収集・管理することで、彼らの進歩を理解し、選手について学ぶことができました。そして、選手に関するデータの管理性と透明性をより高めるために、日本代表チームに関するデータベースを作成しました。在庫管理も、クリケットのドレスコードについて学び、スポンサーについて理解を深める素晴らしい機会であり、倉庫をきれいにすることもできました!また、ソーシャルクリケットなどのプロモーションイベント、グラウンド管理、昭島市でのクリケット普及活動など、プロモーションやメディア戦略についても学ぶことができました。その他にも、国内最高峰のT20大会であるジャパンカップファイナルに実行委員会の一員として参加したことにより、マネジメントスキルを学び、大会をスムーズに運営するために貢献することもできたと思います。」と熱く語りました。
また、私たち3人が共通して驚いたことは、JCA本部の充実したクリケット施設だけではなく、小さな組織であるにもかかわらず、運営体制がしっかりしていることでした。宮地直樹CEOとアラン氏は、日本におけるクリケットやJCAがここ数年抱えている課題について、また、チャレンジが多い中でも日本中で行われている様々なトレーニングプログラムを通じて新しい才能が生まれつつあることなどについて話してくれ、私たちにとても深い洞察を与えてくれました。
さらに、ハイパフォーマンスマネージャーのサイモン・ダート氏と過ごした時間は、彼が持つ様々なコーチングメソッドを理解する機会となりました。サイモン氏の指導を見ることは、インドで私自身が経験したコーチングスタイルと、日本で経験したコーチングスタイルの違いを感じることができ(オーストラリアコーチの視点からではありますが)、楽しい時間でした。
また、インターンの期間は佐野市まで長い時間をかけて移動する必要がなく(自転車で10分!)、思う存分クリケットを楽しむことができました。その他にも、ソーシャルクリケットのフォーマットを学び、芝刈り機に乗り、ローラーで試合に向けてグラウンドを準備し(日本一のグラウンドマン、上原さん、ありがとうございました!)、週末の試合の準備をし、さらに時間を見つけて唐澤山に行き、たくさんの猫と遊ぶこともできました。日光への日帰り旅行もこの短い期間に実現し、とても充実した時間を過ごすことができました。
エンバシーカップとジャパンカップファイナルの運営に携わったことで、日本選手のレベルの高さや才能を実際に見ることができました。また、クリケットのために遠くまで足を運ぶ選手の情熱を目の当たりにし、クリケットが日本で大切にされていることを肌で感じることができました。日本でのクリケット普及は(時間はかかるかもしれませんが)、必ず成功すると確信しています。
佐野市での素晴らしい思い出は語り尽くせないほどたくさんあります!週末にシャークスのチームメイトと佐野市で過ごしたこと、佐野ラーメン、JCAオフィスの両サイドにあるセブンイレブンに通い詰めたこと、SICGのキッチンカー、そして佐野市の素晴らしい星空!
皆さん、ありがとうございました!!