日本のクリケット
- 横浜を戦火から守った日本初のクリケットマッチ
日本での最初の試合は、1863年6月ごろに横浜で行われた、「横浜 vs 英国海軍」の試合。その後、1868年には日本で最初のクリケットクラブ「横浜クリケットクラブ(現横浜カントリー&アスレチック クラブ)」が誕生。1876年には、日本最古の芝生のグラウンドである、横浜彼我公園クリケットグラウンドが竣工した。当時クリケットグラウンドだった場所には、現在、横浜公園と横浜スタジアムがある。その後、いくつかの学校でもプレイされた形跡はあるが、本格的な普及には至らなかった。
- 普及活動のスタート
日本での最初の試合から100年以上経過した、1977年の春頃、神戸市外国語大学の山田誠教授(現JCA会長)により競技の存在が紹介され、1980年4月には日本人によるクリケットクラブが誕生した。1987年に慶應義塾大学、1989年に中央大学と専修大学にそれぞれ大学チームが誕生すると、関東学生連盟が発足し、学生スポーツとしての普及が始まった。チーム数の増加とともにその活動も多様となり、英国大使館との交流試合や、海外遠征など、その活動範囲は国外にまで広がっていった。
一方、在日外国人主導型のクラブも、1980年代には東海、近畿、東京近郊で広がっていった。1990年代後半には四国・九州に、2000年以降には広島、北海道、長野にもチームが誕生し、その動きは全国的な広がりを見せている。
- 日本クリケット協会の発足
当協会は、1984年に発足。当初は、国内リーグの運営のみの活動だったが、1996年には初めて国際大会に日本代表チームを派遣し、2000年にはジュニア層への普及プログラムも開始した。当協会は、2001年にNPO法人格を取得して以来、競技の普及・発展に努め、2005年には国際クリケット評議会のアソシエートメンバー(準会員)に昇格。また、2010年4月には日本オリンピック委員会に承認団体(現準加盟団体)として加盟し、2010年に中国広州市で開催されたアジア大会には女子日本代表が出場し、銅メダルを獲得した。
- 普及活動の本格化
2008年に、地域密着型の普及戦略が策定され、本格的な普及活動がスタート。行政・地元企業の支援を受け、スポーツ人口の増加、地域の活性化や国際化などを目標とした「クリケットのまち」づくりを推進している。2016年現在では、栃木県佐野市、東京都昭島市、千葉県山武市で官民協働の「クリケットのまち」づくりが進んでいる。
2011年には、体系的な普及プログラムが策定され、年々改良を重ねている。「CRICKET BLAST」プログラムは、新学習指導要領に対応し、学校の授業で実施される「スクールプログラム」、リーグ戦の「シリーズ」、学校対抗大会「スクールカップ」、から構成され、教職員向けの指導者育成研修会なども実施されている。重点地域を中心に、授業やクラブ活動に取り入れる学校が増えている。